「あなたの価値は、あなたが何を所有するかによって決まる」。現代の日本において私たちを取り囲んでいる声です。そしてこの声を信じた人々は、多くのものを所有することで自分の価値を確認しようと際限のない所有、富の蓄積を目指して奔走しているかのようです。
確かに「消費こそ美徳」とばかりの無駄の多い大量消費の風潮はなくなりつつありますが、今度は「量より質」だと、ブランド品あさりやグルメ指向で、やはり物欲の追求は止みそうもありません。それにつけ込んだ偽ブランド品が大手を振って大量に出回っています。
しかし、ここで考えなければならないことは、そんな日本の現状が、果たして私たちを真の意味で幸せにしたか?ということです。物に目を奪われるあまり、人に目を向けることが少なくなり、人を大切にするというよりは他者を競争相手として見るようになり、競争に勝った者が豊かになれるという社会を築いてきました。「勝ち組、負け組」という言葉まで流行しました。たとい全世界を手に入れても、それが自分たちを幸せにしてくれるのではないということを忘れてしまったようです。
今、私たちが学ぶべきことは、自分に与えられた富をどのように用いるかということではないでしょうか。その富を自分のために用いるのではなく、他の人々のために用いるときに、私たちが「所有の縄目」「物欲の呪縛」から解放されていくのではないでしょうか。
「私の価値は、私が何を分かち合うかによって決まる」。この新しい価値感に生きる者になりたいと思います。地球家族一人ひとりの「いのち」を大切にしながら、自分の持っているものを分かち合う生き方をさせていただこうではありませんか。「受けるよりは与える方が、さいわいである」(使徒行伝20:35)。